これは、私の人生の思い出。

当時9才だった私は、家族でバイキングに来ていた。
バイキング
テーブルには様々な料理が並べられ、なんとどれでも好きなだけ食べていいという!
これはテンションが上がらないハズがない!
お肉、カレー、刺身、食べたいものがいっぱいある!

中でも目を引いたのは
先着100名限定ズワイガニ!!
今大体20人くらい並んでいる!
家族からも無くなる前に早くいった方が良いと言われ、
カニなんて食べたことが無かった私は急いでその列に並んだ。

列が前に前に進んでいく。
先着100人、食べれるかな…
不安と期待が渦巻く中、シェフさんの「あと8皿」という声が!
あと8皿
1.2.3.4.5.6.7、いける!
ぎりぎりセーフだ!ラッキー!

私より後ろに並んでる人がどんどん去っていく。皆ガッカリした表情だ。
皆の思い・・・無駄にはしない。大切に味わうよ・・・
そんなことを思っていた時

ドンッ!!

身体が浮いた。 押されたのだ。
誰に?振り向くとそこには30歳くらいの女性がいた。
最初は何が起こったのか分からなかった。

さっきまで自分が立っていた空間が無い。
割り込みされた。と思った。

恐怖だった。大人にこんな理不尽をされるのが初めてだったから。
というか、大人がこんなことしてくるのか!?と思った。

しかし、勇気をふり絞って、
「並んでました!」と言って無理やりその女性の前に入ろうとした。

すると
割り込むな!!!と鬼の剣幕で言われまた押された。

・・・・・・

・・・割り込んだのはおまえだろ!いい加減にしろ!
という言葉は声に出せなかった。


私は茫然として家族のいるテーブルに戻った。

家族の反応
テーブルに戻ると家族がカニをたいらげていた。皆幸せそうだった。
しかし私は泣くのを堪えるのに精いっぱいだった。
言いたいことは山ほどあった。
しかしそれ以上に、この人間社会に対し絶望、愕然、驚愕していてしばらく声が出なかった。ダークサイドに完全に堕ちたと思った。
敗北
↑この世の全てを恨む9才

テーブルで何も食べず、皿には何も盛り付けず、ただぼーっと椅子に座っていた。
気が付くと目から涙が出ていた。残ったのは、悔しさ、圧倒的理不尽
家族にどうしたのか聞かれ、私は起こったことすべて話した。すると

「それはお前が悪い

と言われた。

「普通に並んでたらそんなことされない。」
「列にちゃんと並んでなかったんじゃないの?」
「なんでちゃんと言い返さなかった?」

家族に言われた言葉だ。

その後私はヤケになってほとんど何も食べずにトイレに籠って泣いた。

公正世界仮説 
教師T
という言葉をご存じだろうか。

人間の脳には「人間の行いに対して公正な結果が返ってくるものである」という認知バイアス(思い込み)が存在している。

言い換えると、
何か悪いことが起こったのはそれに値するようなことをしたから。
という因果関係が存在すると思い込むことである。

たとえば公正世界仮説を強く持っている人は
「正義は必ず勝つ」「努力は必ず報われる」といった言葉を信じ、
未来は自分でコントロールできると考え、未来にポジティブな感情を持つ。

しかしその人が公正世界仮説に反して、
「何の罪もない人々が苦しむ」という出来事に直面した時は
「現実は非常である」と解釈することができず

被害者自身に何か原因があったのだ。
という解釈に陥る=(
公正世界仮説の認知バイアス)

これは現代社会でいたるところで見かける。

「どうしてそんな暗い道を一人で歩いていたんだ!!」
「いじめはいじめられるほうに原因があるからだ!」
「お前が努力しなかったから引きこもりになったんだ!」・・・等

これらは全て
公正世界仮説の認知バイアスが関係している。
そういったこともあり、多くの人は被害者などを責める傾向がある。


その後
この一件を機に、両親および周りの大人が信用できなくなっていった。
またこの世界のいたるところに理不尽や暴力が蔓延っていることに気づきはじめた。

そして今考えてみてもこのバイキングの一件は自分が悪いとは思わないし、
未だにズワイガニを食べたことが無い。食べたいな・・・